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乙4 物理化学の計算問題を
優しく解説(全23問)

前回の問7では問題に3つの熱化学方程式が記載されていましたが、

この問題の様に化学反応式で記載される場合もあります。

ちなみに化学反応式を熱化学方程式に書き換える方法は単に、

「→」を「=」に直して上の式であれば「2H2O」に「+286kJ」と書き足すだけ。

  「2H2 + O2 → 2H2O 」は「2H2 + O2 = 2H2O + 286kJ」になります。

  「C + O2 → CO2」は「C + O2 = CO2 + 394kJ」になります。

  「C3H8 + 5O2 → 3CO2 + 4H2O」は「C3H8 + 5O2 = 3CO2 + 2219kJ」になります。

 

ですが熱化学方程式に書き換える必要はありません。

問7では(1)と(2)の末尾から燃焼熱を拾って(3)に代入しましたが、

問8では問題文章に記載している燃焼熱を3つ目の式に代入します。

1、公式に当てはめる。  反応熱 = (生成物の生成熱の和) - (反応物の生成熱の和)

  ・「反応熱」は、プロパンの燃焼熱「2219kJ/mol」

  ・「生成物の生成熱の和」は、プロパンの化学反応式の「3CO2 + 4H2O」に

    炭素と水素の燃焼熱を代入して、

   「3CO2 + 4H2O」は、「3 x 394 + 4 x 286」になります。

   (3molの炭素は3を掛け、4molの水素は4を掛ける)

  ・「反応物の生成熱の和」は、「C3H8 + 0」なので、

    ここは初めからプロパン「C3H8」を当てはめると覚える。

  よって式は、「2219kJ/mol = 3 x 394 + 4 x 286 - C3H8」となります。

 これはミスを誘う問題!

 ここで注意ですが、問題文には水素(H2)、炭素(C)、プロパン(C3H8)の順なので、

 286 kJ/mol、394 kJ/mol、2219 kJ/molも水素、炭素、プロパンの順ですが、

 問題に記載されたプロパンの化学反応式の「3CO2 + 4H2O」は

 炭素→水素の並びです。

 この問題は「3 x ■ + 4 x ■」に燃焼熱を代入する時に、間違えやすく

 逆に並べてあります。

  286 kJ/mol、394 kJ/molの順で拾ってしまうと、

  「3 x 286 + 4 x 394」になり、全く違う答えになってしまいます!

 

2、式を解いていく。

   2219 = 3 x 394 + 4 x 286 - C3H8

   2219 = 1182 + 1144 - X

   2219 = 2326 - X

   X = 2326 - 2219 …………右辺-Xを左辺に移項して符号が+になり、2219も右辺に移動してーになる。

   X = 107

プロパンの反応熱は1molあたり107kJ/mol となります。

問8、水素(H2)、炭素(C)、プロパン(C3H8)の燃焼熱がそれぞれ286 kJ/mol、394 kJ/mol、
 2219 kJ/molである場合、プロパンの生成熱を求めよ。
 それぞれが完全燃焼する場合の化学反応式は、下記の通りである。
  2H2 + O2 → 2H2O
  C + O2 → CO2
  C3H8 + 5O2 → 3CO2 + 4H2O

この問題で注意する事は

C3H8 + 5O2 → 3CO2 + 4H2O」の「3CO2 + 4H2O」の部分が「(2) + (1)」で

上の2つの式の並びとは逆に書かれていると言う事でした。

もしも逆になっている事に気が付けなかったなら・・・

答えは215kJになります。

答えの選択肢5つには「107kJ/mol 」も「215kJ/mol 」も記載されていますので

間違った計算をしても選択肢に「215kJ/mol 」があるので安心して選んでしまい

まんまと騙されるというひっかけ問題です。

分かっていても点が取れない事もある試験ですから、

試験当日は全ての問題を解き終えても

もう一度2週目に突入って事も考えてみてはいかがでしょうか!

そのお陰で合格する事だってあります。

試験中に早々と終了して出て行く方達の中にも不合格者がいる事を知りましょう!

乙4 物理化学の計算問題を

優しく解説(全23問)目次

 ●問1、プロパン(C3H8)88gに含まれる炭素原子物質量[mol]として正しいものはどれか。
 ●問2、炭素3gを燃やすと二酸化炭素は何gできるか。
 ●問3、次の示性式で表される物質1molを完全燃焼させた場合必要な酸素量が最も多いものを選べ。
 ●問4、プロパン22gを完全燃焼させる場合消費する酸素量は?炭素を12、水素を1、酸素を6とする。
 ●問5、10℃のとき2,000Lのガソリンは20℃になると約何L増えるか。(体膨張率は0.00135とする)
 ●問6、炭素24g燃やす事で発生する二酸化炭素は何gか。
 ●問7、以下の熱化学方程式を用いC2H4の生成熱を求めよ。
 ●問8、水素(H2)、炭素(C)、プロパン(C3H8)の燃焼熱がそれぞれ286 kJ/mol、394 kJ/mol、2219 kJ/molである場合プロパンの生成熱を求めよ。
 ●問9、10℃の水200gに4,200Jの熱量を与えると何℃になるか。水の比熱は4.2J/(g・K)とする。
 ●問10、200gの水に10gの食塩を溶かした場合溶液の濃度は何%になるか。
 ●問11、ある気体が427℃1気圧のもとで2ℓの場合の質量が9.4g。この気体の分子量は幾らか。
 ●問12、3気圧で20℃のプロパン3molの体積はいくらか。
 ●問13、液体10gの温度を20℃→50℃まで上げるのに756Jの熱量を必要とした液体の比熱は何J/(g・K)か。

 ●問14、25℃の水 1000g を 45℃まで上昇させるために必要な熱量は何KJか。比熱を 4.2J/(g・℃)とする。
 ●問15、1000Lのガソリンが10℃から30℃になると体積は何L増加するか?
 ●問16、空気の中に窒素80%酸素20%を含む時、空気の見かけの分子量として正しいものはどれか。
 ●問17、50Lの容器の中に5kPaの酸素50Lと8kPaの窒素100Lを入れた気体全圧として正しいものはどれか?
 ●問18、0℃のある液体100gに12.6kJの熱量を与えると何度になるか。液体の比熱は2.1J/(g・K)とする。
 ●問19、80℃の銅500gを20℃の水に入れると全体の温度は25℃になった。流れ出た熱量は幾らか?
 ●問20、二酸化硫黄、酸素、三酸化硫黄が平衡を右に移動する組み合わせは、A〜Eのうちどれか。
 ●問21、水素H2が燃焼し水蒸気H2O(気)が発生する時の燃焼熱はどれか(気)気体(液)は液体の状態。
 ●問22、0℃1気圧にて22.4Lの一酸化炭素と酸素22.4Lを混合して完全燃焼させたとき反応した酸素の体積と反応後の気体の体積として正しいものはどれか。
 ●問23、0℃1気圧においてアセトン11.6gが完全燃焼するものと仮定した必要空気量として近いものはどれ。空気中に占める酸素の体積の割合は20%、原子量はH=1、C=12、O=16でありる。

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